企画展示
「原初的ビデオ本色」
韓国にてリリースされたビデオテープ映画を素材に、ビデオ映像文化を振り返り、経験してみる!
- 日時2022.11.23.~ 2023.6.18.
- 時間(火-日)10:00~18:00
(水、土)10:00~20:00
*毎週月曜日休館 - 場所複合5館
- 料金 無料
- 予約自由観覧
- お問い合わせ+82-1899-5566
ギャラリー
紹介
K-カルチャが国際文化市場で脚光を浴びている昨今であるが、現在の韓国映画界が成立するにおいて、「ビデオテープ」のレガシーを看過することはできないだろう。ビデオ産業の伸張は、映画専門雑誌や映画マニア(シネフィル)の登場、大企業の資本によるブロックバスター映画の制作、映画の学問化などと歴史をともにしている。この産業の生産者または受容者たちは、「ビデオキッズ」として、VHSを介して映画を享受・理解し、また収集もしていた。
ビデオは、1976年日本の電気メーカ「ビクター(JVC)」が家庭用ビデオテープモデル(VHS)を生産するようになってから、大衆的に普及され始めた。VHSの実用性は、映像市場をますます急速に活性化させ、映像制作者と流通会社のみならず、家庭にまで浸透し、文化活動の主軸として大きな役割を担うようにさせた。
芸術の領域では、VHSがまだ生産されなかった1959年代から「ソニー(SONY)」が生産するポーターバックカメラを介してビデオ媒体への実験がなされてきた。「▶再生 II一時停止 ■停止 そして ◀◀ 巻き戻し」というビデオの再帰的かつ触覚的な特性は、メディアが形式的な道具ではない、心理的な装置として活用されるきっかけとなった。ビデオアートにおいて、「ナルシシズムの美学」と呼ばれる「自己反映性」は、今日、「セルフカメラ」と自分が直接登場する「ユーチューバー」を連想させる。このように参加的かつ双方向の特徴を持つビデオは、1世紀にわたり文化芸術全般において変化と発展をもたらし、個人と公共の歴史の中に生き残っている。
「原初的ビデオ本色」は、ビデオの歴史においてももはや姿を消した「VHS」、その中でも大衆的に訴求されてきた「映画」にフォーカスを当てたい。映画ビデオ文化は、生産者と受容者、社会制度の圏内や圏外を問わず、実践的かつ能動的な文化だった。本展示は、ビデオの制作者(アーティストを含めて)中心ではなく、受容者を中心にした文化について触れるものであり、VHSをそのまま展示の素材に使うことで、現在では体感しにくい「物性」を直接的かつ間接的に見せることを図った。
展示されたVHSのほとんどは、光州の映画人チョ・デヨンさんが集めた所蔵品で、約5万点のうち、重複や破損、汚染が激しいVHSを除いた2万5千点を紹介する。大きなカテゴリーで紹介されるVHSのジャンル別・地域別の個数、ビデオケースにある映画宣伝フレーズと観覧年齢表記、しばし存在するレンタルショップで貼ったレンタル料金や期間などは、当時の時代的文化を物語る指標となる。
最近になって、「融・複合」という用語が文化全般においてたびたび登場するようになった。未来志向的かつ民主的に聞こえる、このおしゃれな用語は、デジタル技術文化にだけ焦点を当てているため、本来の意味を色褪せる曖昧な言葉になってしまった。「融・複合」は、ハイテクとローテクが相まって、全世代が時代的かつ技術的なイデオロギーを乗り越え、拡張していくことから始まる。たとえ、ビデオ媒体が新しい世代には物珍しく、今後は必要のないものであったとしても、ネットフリックス、YouTubeなどのオンライン動画サービス(OTT)の起源として、文化を受け入れる様々な方法を直接、間接的に体験できればと思う。最後に、ビデオを経験した世代にとっては、過去を思い起こすと同時に再構築できる機会になってほしい。
展示構成
1日1編ずつ見ても77年かかるビデオコレクション
- Aエリア
全年齢観覧可能および19歳以上
ドラマ、アクション、中国映画 - Bエリア
韓国、日本映画、ホラー&B級映画、西部劇&戦争映画
チョ・デヨンおすすめ映画、原初的ビデオ本色のおすすめ映画、その他ドキュメンタリー - Cエリア
アニメ映画シリーズおよび子供向け映画 - レッドゾーン
成人向けのビデオ、アダルト映画
*未成年者は入場不可であり、
入場の際、身分証明書をご持参ください。
90年代から2000年代初めまで、光州や首都圏を中心に行われた
制度圏外でのシネマテーク運動に関する資料を紹介する。
空間の手前にVHS閲覧コーナーが設けられており、ビデオの再生および閲覧が可能である。
展示連携上映
日付 | 上映 | ゲスト | 場所 |
---|---|---|---|
11.26.(土) 15:00 |
ホモシネマクス | チョ・デヨン(光州東区人文学堂プログラムディレクター、展示ビデオの提供者) シン・ウンシル(映画評論家) |
文化情報院 劇場3 |
12.10.(土) 15:00 |
一時停止 | ソ・ウォンテ(『一時停止』の演出者、映画監督) イム・ピルソン(『愛のタリオ(邦題)』、『南極日誌』の映画監督) チョン・ユンチョル(『マラソン』、『代立軍』の映画監督) ハン・ドンギュン(『一時停止』の編集者) モ・ウンヨン(富川国際ファンタスティック映画祭のプログラマー) |
文化情報院 劇場3 |
若い頃からひたすら映画に狂ったように生きてきた彼に、光州は映画の不毛の地に見える。まるで映画のためだけに生まれてきたような人、チョ・デヨンが映画にかかわるすべての物を収集するようになった過程と理由を彼の日常と共に映し出す。
今や歴史の中に消え去ってしまったプラスチックケースに入ったビデオ映像と映画文化の大衆史的かつ映画史な意味を探ると共に、監督、PD、企画者などのインタービューを通してその文化的な意味を見出す。
(*展示連携ACC制作作品)
ペク・ジュンオ
プレインアーカイブ代表
イム・デヒョン
『ユンヒへ』の映画監督
イム・ピルソン
『愛のタリオ(邦題)』、『南極日誌』の映画監督
チョン・ユンチョル
『マラソン』、『代立軍』の映画監督
展示連携イベント
日付 | テーマ | ゲスト | 場所 |
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2022.12.2.(金) 15:00 |
ビデオ時代の俳優を語る | キム・ジョンテ(俳優)、イ・ファジョン(映画記者) | 文化創造院 複合展示5館ロビー |
2022.12.16.(金) 15:00 |
ビデオ時代の一生ものの映画を語る | キム・セユン(FM映画音楽DJ)、キム・チョヒ(『チャンシルさんには福が多いね』の映画監督) | |
2023. 1.6.(金) 15:00 |
ビデオ時代の香港映画を語る | チュ・ソンチョル(映画記者)、キム・ヨンウ(元釜山国際映画祭のプログラマー) | |
2023. 1.27.(金) 15:00 |
ビデオ時代のアダルト映画を語る | ポン・マンデ(『アーティスト ポン・マンデ』の映画監督)、キム・ヒョンソク(映画評論家) |
- 日付2023.1.11.(水) 15:00
- 場所文化創造院 複合展示5館ロビー
- 対談者イム・テフン(成均館大)、オ・ヨンジン(漢陽大/機械批評)、イ・ギョンヒョク(ゲーム批評家)
展示トレイラー
年間日程
6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 |
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30~1日(7月) | 28~29日 | 25~26日 | 22~23日 | 27~28日 | 2022.11.23~ 2023.2.19. |
29~30日 |
全州国際映画祭話題作 | 韓国 映像資料院 復元作Ⅰ | 富川国際ファンタスティック映画祭話題作 | ソウル国際実験映画フェスティバル話題作 | 韓国 映像資料院 復元作Ⅱ | 特別展示 『原始的なビデオ展示』 |
釜山国際映画祭話題作 |
場所の詳細
文化創造院, 複合5館
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